ロビン・マッキンリイ Robin McKinley ― 2009/08/09 11:23
1 青い剣
2 王冠と英雄
Damar王国の物語を読んだ。
不思議な感触の物語だ。
だが、まず、これは言っておきたい。
翻訳がむごくない?
原文を見ていないから断定はできないが、とても日本語とは思えないような文章にたびたび出くわす。
どこにかかる形容詞節なのか、さっぱりわからないような、へんてこな文章。
そんな翻訳にもかかわらず、ずいっとひきこまれる世界だった。
美しく清々しい、しなやかで強い。
1は特に指輪物語を彷彿させるモチーフが散見し、ファンタジーふぁんを喜ばせる。(逆に言うと、よくあるパターンの踏襲とも言える)
1のヒロインを影ながら助ける伝説の英雄を2では生々しい姿で描く。
これにハッとした。
我らが敬愛する素敵な素敵なお姫さま、と、後年の国民は言っているが、そのお姫様が生きていた当時、国民は彼女を偏見と恐れから受け容れようとはしないし、王の側近たちも彼女を嫌った。
2で描かれる一少女の孤独と苦悩は1とは比べ物にならないくらい厳しい。
戦いも1とは比べ物にならないくらい痛々しい。
英雄って何?
大いなる絶望に覆われないと物の価値は見えないの?
まさに「困ったときの神頼み」のような流れに、読んでいると主人公に代わって悔しくなってくる。
この作者は動物に寄せる愛ほど人間を愛していない、と感じる。
気味が悪いほど「血」や「死」が溢れている。
産褥の血、竜の血、とげとげしたサルカの葉を握りしめた血、少女から女になってゆくモチーフのように、血がついてまわる。
作者は意地でも偶像じゃない生の人間を描こうと決めたようで、ルーサとの関わりが不協和音というかファンタジーを逸れた「性」的なものを奏でる。
個人的にはものすごく違和感があった部分だけれど、初体験を経てヒロインは「おびえない女性」として堂々と帰還し、彼女を待ち続けている男の愛を受け容れる。
(トー、好きだよーー!!!)
少数派だと思うが、少女の成長物語として、ユニークな異世界譚として1よりも2のほうが好きだ。
(1に愛の告白が無ければよかったのに、と思っているのは私だけ?)
さて、Damar 関連 すべて短編ばかりだが
アンソロジー Imaginary Lands (1985)
"The Stone Fey," a beautifully written love story set in Damar.
短編集 A Knot in the Grain and Other Stories (1994)
The first four short stories in this collection are set in Damar
2 王冠と英雄
Damar王国の物語を読んだ。
不思議な感触の物語だ。
だが、まず、これは言っておきたい。
翻訳がむごくない?
原文を見ていないから断定はできないが、とても日本語とは思えないような文章にたびたび出くわす。
どこにかかる形容詞節なのか、さっぱりわからないような、へんてこな文章。
そんな翻訳にもかかわらず、ずいっとひきこまれる世界だった。
美しく清々しい、しなやかで強い。
1は特に指輪物語を彷彿させるモチーフが散見し、ファンタジーふぁんを喜ばせる。(逆に言うと、よくあるパターンの踏襲とも言える)
1のヒロインを影ながら助ける伝説の英雄を2では生々しい姿で描く。
これにハッとした。
我らが敬愛する素敵な素敵なお姫さま、と、後年の国民は言っているが、そのお姫様が生きていた当時、国民は彼女を偏見と恐れから受け容れようとはしないし、王の側近たちも彼女を嫌った。
2で描かれる一少女の孤独と苦悩は1とは比べ物にならないくらい厳しい。
戦いも1とは比べ物にならないくらい痛々しい。
英雄って何?
大いなる絶望に覆われないと物の価値は見えないの?
まさに「困ったときの神頼み」のような流れに、読んでいると主人公に代わって悔しくなってくる。
この作者は動物に寄せる愛ほど人間を愛していない、と感じる。
気味が悪いほど「血」や「死」が溢れている。
産褥の血、竜の血、とげとげしたサルカの葉を握りしめた血、少女から女になってゆくモチーフのように、血がついてまわる。
作者は意地でも偶像じゃない生の人間を描こうと決めたようで、ルーサとの関わりが不協和音というかファンタジーを逸れた「性」的なものを奏でる。
個人的にはものすごく違和感があった部分だけれど、初体験を経てヒロインは「おびえない女性」として堂々と帰還し、彼女を待ち続けている男の愛を受け容れる。
(トー、好きだよーー!!!)
少数派だと思うが、少女の成長物語として、ユニークな異世界譚として1よりも2のほうが好きだ。
(1に愛の告白が無ければよかったのに、と思っているのは私だけ?)
さて、Damar 関連 すべて短編ばかりだが
アンソロジー Imaginary Lands (1985)
"The Stone Fey," a beautifully written love story set in Damar.
短編集 A Knot in the Grain and Other Stories (1994)
The first four short stories in this collection are set in Damar
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